春の風物詩 二艘曳きのサヨリ漁 Webマガジンいばらきの地魚市場vol.3

トップページ
海の青に映える、すらりと長い姿、ツンとした赤い口。

帰港、そして水揚げ。

海から船にあげられたサヨリは、すぐに死んでしまう。素早く冷やさないと鮮度は保てない。さらには、その流麗な魅力を引き出すために魚体をまっすぐ揃えることも必要だ。 無心で仕分け、丁寧に並べる姿から、獲った魚に対する心配りが、そこかしこに見受けられた。

結局この日は網を3回曳いたのだが、3回目の途中で漁の終わりが告げられた。

「時間的にはもう1番いけますが、魚が小振りで量も伸びませんからあがります」

この日、残念ながら、漁獲量は5カゴを越えず。また、サヨリ以外の魚が網に入ることは、ただ一匹もなかった。大漁とは決して言えないだろうが、それでも、漁を終えた勝雄さんの背中には、一仕事終えた安堵感が漂っていた。

漁師お勧めのサヨリ料理は?

「やっぱり天ぷら、刺身ですね!くせがなくて、とても食べやすい。あと、個人的には酢漬けです。三枚に下ろした後、酢に一晩つけると身が真っ白になります。それを食べやすい大きさに切って、醤油につけて食べるんです。サヨリは細いから捌きにくいように見えるかもしれませんが、骨は硬くないし、皮もとりやすいし、捌くのはすごく簡単。お腹の黒い膜も拭いたり洗ったりすれば、すぐとれますし。ほんとに簡単で、おいしいですから、試してみてくださいよ!」

そう言って勝雄さんは、日焼けした顔をほころばせた。

長く伸びる赤い下顎と、短い上顎の受け口が特徴的なサヨリ。すらりとした美しい姿の反面、腹腔膜が黒いところから「サヨリのように腹黒い」と使われることも。茨城県では、12月から5月にかけて漁獲され、旬は2月から4月。

これは食べたい!

サヨリを味わう。久慈浜丸小おかみのレシピ

バックナンバー